どうも、同人結社創作信仰鬼姫狂総本部 代表の秋元惟史(作家名義・民富田智明)です。
絶対に見るべき映画シリーズ第10弾は「片腕ドラゴン」(1971年)です。
「片腕ドラゴン」は、ブルース・リー登場以前の香港映画の大スター、天皇巨星ことジミー・ウォング主演のカンフー映画です。
カンフー映画を語る上で、香港の大物ジミーさんの存在を無視することはできません。
「片腕ドラゴン」は、ジミーさん自らのショウブラザーズでの出世作「片腕必殺剣」のアイディアをカンフー映画に置き換えたものです。
この映画、ただのカンフー映画ではありません。
日本の名作ゲーム「ストリートファイター」シリーズに直接的な影響を与えたともいわれる、奇人変人だらけの異種格闘技戦が繰り広げられるゲテモノカンフー映画として、カンフーマニアの間では語り草になっています。
「鬼神童女遊侠伝」シリーズも、ジミーさんのゲテモノ魂が込められています。
内容は、とある武術流派の対立抗争の中で右手を切り落とされてしまった主人公ティエン・ロンが、秘術によって左手を岩をも砕く必殺の拳に鍛え上げ、復讐を果たすというお話です。
物語そのものは、どこにでもあるカンフー映画と同じ復讐ものです。
しかし、この対立抗争の中で登場するアジア各国から呼ばれた凄腕の格闘家が、色々とおかしいのです。
栓抜きを使わずにビール瓶の先を歯で食いちぎる韓国テコンドーの達人!
常に二人がかりで攻め立てるムエタイの達人!
風船のように体が膨らむチベットのラマ層!
逆立ちで歩き回るインドのヨガの達人!
牙の生えた沖縄の空手家!(牙を使うわけでもない)
本業の人脈(実はヤクザの顔役!)を活かしてゲテモノ映画ばかり制作してきたジミーさんの本領発揮は、このいい加減な、なんでもありな演出にあります。
70年代のカンフー映画なので、道場破りでの延々と続くカンフー場面がだれるところもあるのですが、逆に言えば、見せるべきもの(客が見たいもの)はうんざりするぐらいに徹底的に見せるという、世界一娯楽度の追及にシビアな香港映画の魅力と魔力がここに凝縮しているのです。
私がこの映画を見たのは、映像学科時代にジミー映画のDVDラッシュが始まったときです。
クエンティン・タランティーノのオタク映画「キル・ビル」のヒットの影響で、タランティーノが愛している70年代カンフー映画のDVDが矢継ぎ早に日本で発売されまして、その流れでカンフー大好きな私は片っ端から買い集めたのです。
キングレコードの「ショウブラザーズスタジオ黄金のシネマシリーズ」と「ゴールデンハーベストクラシック20」は、参考文献として、今でも私の財産です。
その中の一本が、「片腕ドラゴン」です。
映像学科時代のお小遣いのかなりの金額がDVDに化けましたが、悔いはないです。
かつて、一人暮らしなのにゲーセンに月3万つぎ込んでいると豪語した漫画家志望の高卒フリーターで中学の同級生の友人がいましたが、どちらが賢明なお金の使い方なのだろうかと、いまだに疑問に思っています。
彼は、中学時代に「オタクたるもの博学でなければならない」というのが口癖だったのですが、それならば、ゲーセンに入り浸るお金と暇があれば、研究のために専門書や先行作品を買い集めたり、取材旅行の費用に積み立てるのが優先だと思いますが……。
月3万あれば、年36万円も自由に使えるお金があるということですから。
親には大学に行けと言われていたのを、土下座して泣いて「大学行きたくありません。勉強したくありません。漫画家になりたいです」と、猛反対を押し切って高卒で小池一夫の漫画塾に行ったそうです。
私塾なので専門卒にもなりません。
とりあえず大学に進んで勉強しながら漫画を描き続けるという道もあったでしょう。
たぶん、彼の親もそれを望んだのではないでしょうか。
やはり、漫画家志望、ラノベ作家志望でよくある目の前の受験勉強逃れの口実だったのではないでしょうか。
「オタクたるもの博学でなければならない」という言葉と矛盾していますよね。
大学でテーマを掘り下げた上で、その実践として漫画を描けばいいのに。
今は何してるんでしょうね。
付き合いがなくなったのでわかりませんが、いまだに同人界隈の片隅で巨乳獣人エロをやっているんでしょうか。
彼には彼の人生があるので、一生獣人エロのキワモノで貫けばいいと思いますが。
自分の子供や孫に、「自分の作品だ!」と、胸を張って見せられますかね?
私は、子供や孫に語り継げる世界を創造したいです。
「時代劇が描けないなら現代にすればいい、女主人公が描けないなら男にすればいいだけの話じゃないか。何を悩む必要がある頑固ロリコンめ。お前さんのやっていることは何の価値もない、ただのオナニーであることに気付け。高卒フリーターの俺から言わせれば、親から学費を出してもらって勉強して楽して夢を叶えようなんてなめてる。高卒がどれだけ差別されて苦労するか知らないだろう。大卒というだけで優遇される。所詮世の中学歴社会なんだよ」
今なら、そっくりそのまま言い返してやりたいですよ。
じゃあ、大学行けばよかったじゃん、と。
そこまで言えるなら、働きながら通信課程でも行って大卒になればいいのに。
通信課程で大学に行く人、世の中たくさんいますよ。
こちとら、卒業研究で真剣にテーマと向き合っているだけですからね。
普通の現役大学生って、自費で行ってないですよね。
あの時の友人の上から目線のミクシィでの書き込みは、ほとんどの現役大学生を敵に回す発言なのですよ。
ちなみに、明治学院の心理学科でお世話になったある先生は、大学再受験の経験者でした。
「新卒で就職して営業をやったけど、3年で嫌気がさして退職した。それで、人の心に興味を持って、親に頭を下げてお金を出してもらって、学部1年から再受験して博士まで行って、今大学教員やってる」と。
たぶん、就職して相当嫌なことがあったんでしょうね。
一度就職しているという違いはあっても、通学制での学部再受験って横並び社会の日本だとかなり浮きますから、決断するまでにかなり悩んだと思いますよ。
私は心理学科を出てから就職しましたけど、4年目に入ったので、先生が再受験を決意した時と実質的な就業年数は並びましたね。
世の中、こういう遠回りな再受験組の大学教授もいるのがわかったので、再受験の私は心が軽くなりました。
落ちこぼれでしたけど。
時代劇とヒロインものは私の大学での研究テーマですからね、テーマから逸脱したらもはや卒業研究ではなくなりますから。
動力機械工学専攻の学生が突然微生物学で論文なんて書かないでしょう。
本気で研究している学生なら、自分のテーマのために死に物狂いになって論文を書くでしょう。
何よりも優先して研究資料を集めるでしょう。
それと同じなのですよ。
大学に行ってない人に自分の研究テーマを侮られてオナニー呼ばわりされて怒らない人なんていないでしょう。
卒業研究って、教科書も何もないですからね。
大学の勉強が「楽」って、どういう基準でしょう。
なんとなく大学に行って、ついていけなくてドロップアウトする人、たくさんいますよ。
それでも、大学受験をし、単位を取り、卒業した点で、優劣はあれどひとつの壁を突破した人たちです。
費やしている時間と投資額が違うのですよ。
だから、元を取るべく、何とかして結果を出さなくちゃいけないのですよ。
学生時代に学んだこと、全部、鬼姫狂総本部の活動にいかしてますからね。
大学に行けという親の意見を蹴ってまで受験逃れで高卒フリーターになって、行き着いたのが獣人エロ。
一度彼のアパートに遊びに行ったことがありますけど、参考文献らしいもの、まったく置いてなかったですよ。
文化人類学の関連書くらいは積み重なっているくらいでないと、対外的には「獣人専門家」とは認められません。
オナニーなのはどちらでしょうか。
勉強のための資料にお金をかけない人って、まず成功する人はいないと言われています。
理由は、自己投資すら習慣化できていないからだそうです。
図書館やレンタルDVD、ウィキペディアなどのネットの無料記事に頼りきりな人は貧乏性が染みついており、大きい投資ができないそうです。
だから、結果的にチマチマとしたことしかやれないのだとか。
私は、結果的に学問としての民俗学の道に進むことはできなかったため、関連書籍を自分でせっせと買い集めて、自主的に知識補充をしています。
日程の都合で一度も総会に出たことがないにせよ「世界鬼学会」にも加盟していますし、鬼女紅葉伝説の残る信州戸隠鬼無里の実地訪問もしています。
鬼姫狂総本部は、本当に「鬼屋」として専門業者になりたいのですよ。
そのためなら、どんな先行投資でもします。
10年くらい前に書かれたことをいつまで根に持っているんだよ、と思う人もいるでしょう。
でも、あれほど悔しい気持ちになったことって、ないですから。
何が何でも一旗揚げてやると心に決めた瞬間でした。
今の私の原動力になっています。
話はずれましたが、「片腕ドラゴン」は、映像学科時代に、目先の遊びへの欲を抑えて決死の思いで買い集めた映像資料のうちの一つです。
映像学科を卒業して8年経った今でも、学生時代の蓄積として棚に保管されています。
「片腕ドラゴン」のノリは、私の「鬼神童女遊侠伝」シリーズに継承されています。
まだまだ無名でなかなか注目されず、売れないのが悩みですが、人知れず法律上の権利を掌握し、自分が主導権を握るための独占市場を確立する野心に向けて、水面下で着実に基礎工事を続けています。
ジミーさんがゲテモノ映画の制作で実業家として成功したのと同じく、私も「鬼神童女遊侠伝」シリーズで専門ジャンルを築き上げることを10年来の大志としています。
「片腕ドラゴン」を見れば、批評家に無視され、賞レースから逸脱するようなゲテモノ企画でも成功できるという確信を得られ、勇気が出てきます。
ジミー映画は、日本に入ってないものを含めると、本当にゲテモノばかりですからね。
でも、ゲテモノばかりやってもポルノには手を出さないというのが、ジミーさん(本業ヤクザ)の娯楽としての信念を感じます。
ポルノに手を出したら、子供に見せられないですから。
ゲテモノかもしれないけど、全年齢で誰でも楽しめる、それが本当の娯楽です。
学生時代のエピソードがはさまりましたが、「片腕ドラゴン」を見たことがない人は、ぜひ見ることをおすすめします。
【予告編】
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