どうも、同人結社鬼姫狂 代表 秋元惟史(活動名義・民富田智明)です。
鬼姫山回峰行として、奥秩父にある三峰神社の奥宮・妙法ヶ岳(標高1329m)に行ってきました。
鬼姫山回峰行とは、武州鬼姫信仰において神聖視される秩父鬼姫山の比定地である秩父山地と、各地方に点在する鬼姫山支山の比定地である山岳地を、仮に鬼姫山と見立てて自らの足で踏破することによって、鬼姫山へ想いをはせ、己と向き合い、鬼姫山三神と心を一体化させ、神秘の萌燃力を授かることを目指す山岳修行です。
三峰神社は、秩父神社、宝登山神社と合わせて秩父三山と称される山狗信仰が有名な秩父地方の代表的な古社で、妙法ヶ岳、雲取山、白岩山の三つの山を崇めることから三峰神社と名付けられたそうです。
修験道が盛んだった江戸時代くらいまではお寺であり、もっと大規模に栄えていたとか。
さて、三峰神社といえば、埼玉県西部地区に育って車の運転ができる人ならば、運転免許取得後に真っ先に目的地とするドライブスポットなのではないでしょうか。
国道299で秩父に入り、市街地から国道140を甲府方面にまっすぐ進んで、二瀬ダムをまたいで山道を登り詰めれば、三峰神社駐車場に到着します。
特別に迷いやすい道順でもないため、運転経験を積むには最適なところでしょう。
実際、私も三峰神社が初めての日帰りロングドライブでした。
三峰神社は、学生時代に二度参拝に来ています。
そのため、今回は神社そのものの見学ではなく、神社から登山道を登り詰めた先にある奥宮への踏破が目的でした。
土曜日だからか参拝客も多く境内は混んでいたので、ささっと遠くから社殿を遥拝して、奥宮へ向かいました。
本当は人の入り込んでいない写真を撮りたいけど、観光地だし、混んでいたので、そのまま撮影。
観光写真に写り込んだ一般人について肖像権うんぬんで問題視されたこともありますが、「観光地では不特定多数の観光客がいて、それぞれが観光写真を撮影しているのが当然のものであって、個別に肖像権の許諾を得ることは難しい。そのため、意図的に特定人物を撮るものでない限り、偶然入り込んでしまった不特定の人物については背景の一部とみなされ、受忍すべきものであり、肖像権は及ばない」という判例があったはず。
お互いに、写真撮るのでどいてくださいなんて言えないですしね。
逆光ですが、まずは奥宮遥拝所から妙法ヶ岳を拝みます。
たぶん、山の真ん中あたりのちょこんと出っ張った部分が山頂です。
ここからでも、下を見るとめちゃくちゃ怖いです。
奥宮へ向かいます。
神社は人がたくさんいましたが、登山道はほとんど人が寄り付かない様子。
いるのは、見るからに登山マニア風の人々のみ。
つまり、奥宮は、大多数の人はそもそも行こうともしない場所のようです。
ここから、東京都最高峰である雲取山に縦走できるようです。
雲取山は日帰りできないので、もうちょっと経験が必要ですね。
妙法ヶ岳まで2.5㎞。
古民家。
古くから神社領に住んでいた人々のものだとか。
登山道が始まります。
まだまだ散歩道という雰囲気。
坂道になってきたけど、そこまできつくない。
鳥居がありました。
ここからが奥宮の参道です。
登山届のポストがあり、「この先は大変危険な登山道であり、登山装備が必要です。サンダル履きなど軽装での入山はお控え下さい」警察による注意書きが立ってます。
たぶん、実際に滑落事故が起きているんでしょうね。
登山届を出したところで、超高度急斜面から落ちたら、救助するまでもなく大抵死んでるでしょうけど。
入山届の記入台が置かれているレベルの山道は初めてなので、緊張しました。
舐めずにちゃんと登山届は投函し、本当に危険を感じたら引き返すつもりで挑戦です。
鳥居をくぐったら、急にこんなゴツゴツ道です。
木の根が張り出して、天然の罠になっています。
斜面は歩き回れるくらいにゆるいので、危険度は低いです。
尾根筋に出ました。
左側は即死級の急斜面ですが、右側は斜面だけど高くないので、右側に寄って歩きます。
道幅は広いので怖さはないです。
ゴツゴツの道。
木の根が張った尾根筋。
緊張はするけど、道は広いので平気。
ただし、左側に転んだら即死級です。
延々と木の根が張る道が続きます。
道が広いので、崖側を歩かなければ安全だけど、つまずいて転んだらひどい目に遭います。
道標があり、
道が二手に分かれています。
まっすぐ行くと雲取山縦走路です。
左に折れると鳥居があります。
妙法ヶ岳はここを進みます。
ここまでは楽勝。
妙法ヶ岳まで1.4㎞。
入口から約1㎞来ました。
登りがきつくなってきました。
積み石。
ここから先、木の根だらけの斜面を進みます。
道というよりも、斜面を勝手に登る感じです。
広々としているので、危険はないです。
急斜面沿いの道を進んで、
妙法ヶ岳まで1.2㎞。
鳥居からまだ200mしか進んでいません。
休憩所があったので、ちょっと休みました。
割となだらかな斜面を進みます。
どこでも勝手に歩けという感じです。
一度平坦なところに出て、
ここからつづら折れの急登です。
謎の巨石を発見。
道というより、木の根っこが天然の階段になっています。
ゴツゴツ岩を過ぎて、
平坦な場所に到達。
ここで一息入れます。
一休みした後、先に進もうとしました。
しかし、ここから先は、超高度急斜面に沿った、人一人通れるかどうかという心細い狭路でした。
「路肩注意」という張り紙がありますが、木の隙間から下界が丸見えです。
転落防止柵もなく、つかまるためのロープなどもありません。
一歩踏み間違えると、奈落の底に真っ逆さまです。
その先が、どこまで続くのかもわかりません。
途中で下山者とすれ違ったとしたら、どちらかが崖側に避けることになります。
しかし、登山中なのでお互いにリュックも背負っていますから、すれ違うには体格以上の幅が必要です。
もし、すれ違いに失敗して、リュックで体が押されてしまえば、ズルっと滑落する危険があります。
写真を撮れていないので、状況の図説です。
恐る恐る道を進みましたが、あまりに急斜面が丸見えで怖く、足がすくみそうで危険を感じたので、数メートル進んだ地点で引き返しました。
引き返すときの体感距離が長いこと長いこと。
狭路の先が見えていれば、「ここだけの辛抱」にも思えるのですが、曲がって先が隠れていてわからないのが怖いのです。
平地に戻ったときには、心臓バクバクでした。
他の道はないかと探しましたが、やはりあの一本道しかないようでした。
転落の恐怖に耐えて突き進むといえば勇者のように聞こえますが、それで本当に転落してしまえばただの愚者です。
身の丈に合わない危険度の高い山頂に固執するよりも、自分の足で行けるところまで行って、無事に家に帰ることの方が大事です。
そもそも、三峰神社の大多数の参拝者はここに来ません。
つまり、ここまで来たという時点で十分に挑戦者です。
この場で山の神様に「ここで降参します」と宣言し、下山しました。
片道で1㎞以上山行きをしているので、それでも十分に運動になっています。
山歩きは、大自然の中で行われる運動ですので、ガイドブックにも説明がないような想定外の状況もあり、行ってみないとわからないことは多いです。
なので、「ここまで来たのだから」と無理せず、危険だと判断したならば「引き返す判断」は大事だそうです。
ただ、赤矢印で示したように、もう少し登って尾根沿いを進んでいけば安全に踏破できるのではないかと思ってもいます。
実際、ここまで尾根沿いを進んだりもしてきたので、そちらに登るもんだと思っていました。
帰ってから調べたら、超高度急斜面の狭路は、この先200m続くそうです。
転落の危険が高い狭路なので、200mとはいえ、長いです。
その先は両側急斜面の即死級の尾根沿いを600m進み、崩壊しかけた即死級の木段と岩場を越えて、20mの鎖場をよじ登って奥宮に到着、だそうです。
奥宮も10人も入れないような狭いところで、やはり転落の危険がある即死級の断崖絶壁だそうです。
私の感覚からすれば、引き返した狭路ですら超怖かったわけですが、登山マニアの感覚では「初級者向けの普通の登山道」らしく、5段階評価でレベル1~2になっていました。
でも、ここに来る人はそもそも少ないので、こんな場所にあえて来たがる人の「普通」は、たぶん「普通」じゃないと思っています。
今後、奥宮に再挑戦するかどうかはわかりません。
その前に、麓から表参道で神社に登るのに挑戦しようかと思っています。
山頂に行かなくても、1000m級の神社に歩いて踏破できれば、それだけでも達成感は十分にありますし。
たぶん、今時、麓から歩いて三峰神社に参拝する人も少数派だと思いますけど。
山歩きは、別に命までかける必要もないですし、長距離の踏破であれば山頂まで行かなくても十分に体力はつくので、「鬼姫山回峰行」では山頂に立つことに固執しないようにします。
(日本では登山というと一直線に山頂を目指すことと同義ですが、諸外国ではそうでもなく、むしろ山の外周を景観を眺めながら歩くのが主流なんだとか)
無事に下山し、帰路につきました。
帰りに二瀬ダムに立ち寄り、しばし見学。
小さい頃に、母親に連れられて、ダム沿いのトンネルを抜けた先にある斜面につけられた階段のようなものを登り、先にはテニスコートしかなくてがっかりしたという記憶があります。
母親が何を目指していたのかはわかりませんが、思っていたのと違って何もなく、しょんぼりとベンチでお弁当を食べて下りていったことだけは覚えています。
そして、ダム沿いの急斜面につけられた階段なので、ものすごく怖くて壁に張り付きながら泣いて登ったことを覚えています。
その時、「二瀬ダム」と言っていた気がしていて、とにかくそのダムに吸い込まれそうな恐怖が記憶が鮮烈でした。
で、母親はまったく覚えていないため、この記憶がどのダムなのかわかりませんでした。
小さい頃によく秩父の方に連れていかれたし、小さいからまだ他県までは行っていません。
なので、秩父のダムなはずでした。
調べると、秩父にある浦山ダム、滝沢ダム、合角ダムは歴史が浅く、小さい頃に現存していたのは1961年完成の二瀬ダムだけです。
で、記憶のテニスコートを実地調査しました。
そしたら、やっぱりありました。
トンネルがあり、
階段ではないけど、スロープがあり、
ダム湖を下に見ながら登り、
荒れ放題の朽ちたテニスコートがありました。
たぶん、何もなくて母親としょんぼりお弁当を食べた場所です。
何をしに来たのかはわかりません。
母親は中学時代に軟式テニス部でしたし、小さい頃は家族で旅行したときにホテルでよくテニスをしていたので、もしかしたら単純に遊びでテニスをしに来たのかもしれません。
しかし、行ってみたら荒れ果てていたので、がっかりしながらお弁当だけ食べて帰ったのかも。
確かにダム沿いの高いところですが、記憶ほど怖い場所ではありません。
高所からダムの底が丸見えだった記憶があるのです。
ダム湖が干上がっていたのかも。
転落自殺や事故が多いことで有名な立ち入り禁止の吊り橋が見えました。
スロープの途中で、謎の動物の腕が落ちていました。
別の動物に食い散らされた痕跡でしょうけど、手首だけ残っていて、生々しいです。
なんの動物でしょうかね。
片腕だけ落ちていて驚きましたが、人間のじゃなくてよかったです。
野生動物ではなく、怪物に食われた痕跡かもしれないと想像すると、限りなくホラーになりますね。
こんな山奥、何が棲んでいるかわかりません。
もしかすると、残忍な妖賊の仕業かも……。
今回は、妙法ヶ岳の途中撤退という結果になりましたが、「鬼姫山回峰行」はまだまだ続きます。