鬼姫山回峰行 第12回 高尾山

どうも、同人結社鬼姫狂団 代表の秋元惟史(活動名義・民富田智明)です。

鬼姫山回峰行として、東京都八王子市の高尾山(標高599m)を踏破してきました。

鬼姫山回峰行とは、武州鬼姫信仰において神聖視される秩父鬼姫山の比定地である秩父山地と、各地方に点在する鬼姫山支山の比定地である山岳地を、仮に鬼姫山と見立てて自らの足で踏破することによって、鬼姫山へ想いをはせ、己と向き合い、鬼姫山三神と心を一体化させ、神秘の萌燃力を授かることを目指す山岳修行です。

高尾山は、東京都屈指の観光名所として名高い秩父山地の東縁に位置する山で、古くから神仏習合の修験場として栄えてきたところです。
現在でも、744年に創建された真言宗寺院の薬王院が鎮座しており、山全体が境内地となっています。
高尾山薬王院は、もともとは薬師如来が祀られたことから薬王院と名付けられたようですが、その後神仏習合の流れの中で修験道が隆盛となり、飯縄権現が守護神として祀られてそれが本尊となったようです。
高尾山では、飯縄権現の眷属としての天狗信仰が伝わっており、高尾山といえば天狗の山というくらいの印象が強くなっています。

さて、高尾山は、10年くらい前、私がまだ大学生だった頃に一度登っています。
しかし、その時は薬王院の参拝途中に大雨に降られて撤退したため、山頂に登っていませんでした。
そのため、今回は、薬王院の参拝というよりも、山頂への踏破を目的に行ってきました。

とりあえず、駐車場に車を置いて(1,500円! こんなに高かったっけ?)ケーブルカー駅前に出ました。
日曜だったので人が多かったです。
私は運動目的なのでケーブルカーは使わず、表参道から徒歩です。

トイレを済ませて準備体操をし、歩き始めます。

高尾山の表参道は、寺院や売店の関係者の車が走行できるように全面舗装路になっています。
そのため、まともに歩いていさえすれば急斜面から滑落するような心配はありません。
ただ、勾配は結構きついので、あっという間に疲れてきます。

道の脇には、このような小さな仏像が立っていたりします。
ただの自然散策路ではなく、あくまでも寺院表参道です。

結構坂がきつくなってきました。
山道慣れしていないと、大体この辺りから来たことを後悔し始めるでしょう。

高尾山というと、何年か前にミシュランだか何だかの5つ星ランキングに選定されたことで人気が急上昇して、観光客が倍増したことが知られています。
その急激な観光人気の裏で、厚底サンダルやハイヒールなどで登ろうとする無茶な人も増えたということで、転倒によるケガも増えたといわれています。
高尾山は、観光地である前に、歴史ある山岳信仰の霊場です。
本来は修行のための山なので、楽ちんなところではありません。

舗装されて安全ではありますが、肉体的なきつさはあります。

あと、ちゃんとした登山靴で行くことが推奨されます。
安い運動靴だと、靴底が薄すぎて石や砂利などの凹凸で足を痛めるおそれがあります。
あくまでも山なので、厚底サンダルやハイヒールは論外、としかいえないでしょう。

つづら折れを繰り返して高度を稼いでいきます。

高尾山山頂まで2.8㎞。

高尾山山頂まで2.6㎞。
まだ200mしか進んでいません。
山道の100mは長いです。

お地蔵さん。

道の脇にはものすごい年季の入った杉が立っていたりするのですが、切り株の中に、まるで翼竜のようなかっこいい切り株がありました。
偶然にしては芸術的すぎます。

どう見ても翼竜です。

何本か小さな仏像を過ぎて、

リフト乗り場に出ました。
このリフト、下りで乗ると高度を直に感じてとても怖いそうです。

高尾山頂まで2㎞。
ちょうど中間点ですね。

緩やかな道をまっすぐ進んで、

ケーブルカー駅を通りすぎて、

猿苑脇のお地蔵さんを過ぎて、

ついに山門に到着です。

日曜だからか、多すぎってくらいに人が多かったです。

観音堂?をお参りして、

分かれ道から急な石段のある男坂を進みます。

結構段数が多いですが、山形県の羽黒山2446段(日本1位)や香川県琴平山1368段(日本2位)を踏破した身としては、もうこのくらいは慣れっこです。

今回は山頂が目的なので、境内散策は流して突き進みます。

巨大な天狗面。

巨大な天狗面。

山頂まで20分。

お寺なのに鳥居。
これぞ神仏習合。

奥の院。
この裏から山頂までの登山道が続きます。

尾根筋をずっと歩いて行くと、

視界が開けてきます。
この先が高尾山の頂上です。

十三州大見晴台とあります。

標高599m。

奥多摩の山々が見渡せます。

山頂は人がごった返していたので、昼食として冷やしかけそば(700円)を食べて一休みした後、そそくさと下山を始めました。
下山は、表参道ではなく、6号路という沢沿いを下りる自然散策路に近い経路をとりました。

はじめは砂利道でしたが、

延々と続く木段となり、

いかにもな登山道に突入しました。

ここ数日雨がちだったので、滑らないように慎重に進みます。

ここから沢沿い、というより沢そのものに入ります。
増水していなくて安心です。

普通に水が流れているところを、石をまたいだりしながら進みます。
登山靴じゃないと無理ですね。

滑落注意の警告板。
実際に落ちてるんでしょうね。

こんな感じで、ゴッツゴツの道を進みます。

こんな倒木もあります。

沢沿いから高度を上げていき、

落ちたら軽くあの世に行けそうな道を進むと、

金網が張られた道になります。
水しぶきの音がすごいです。

落石注意の警告板。

金網の道を下りた先は、滝行場になっていました。
行場は封鎖されており、修行者以外は入れないようになっていました。

滝行場からしばらく進むと、岩窟があり、そこに石仏が祀られていました。

延々と進んでいくと、

謎の祠があり、

古めかしい病院の脇から舗装路に合流します。

この辺りから雨が降り出したので、薄いジャンパーを着こんで急ぎます。

大量のお地蔵さんがあり、そこからしばらく行くとケーブルカー駅の脇に出ました。
で、雨に濡れているのでそそくさと駐車場に戻りました。

これで、今回の高尾山踏破は終了です。


余談ですが、帰り道に温泉に寄るかもしれなかったので、タオルセットと着替えは積み込んでいました。
なんと、10年以上の間に駅直結の高尾山温泉というのができていたので、試しに入りに行きました。
1200円しましたが、日曜だからか混んでいてイモ洗い状態であり、コロナのエチケットもお構いなしに複数人で固まってワーワー大声でしゃべる人もいて(しかも「黙浴にご協力ください」という貼紙のすぐ横で)、なおかつお湯設定も37度、38度など異様にぬるかったので、あまり満足はできませんでした。
人が多いのは仕方ないにしても、お湯がぬるいのはちょっと。(公衆衛生法で、感染症を防止するために湯温が43度以上ないといけないと定められている。実際にレジオネラ菌感染で死亡事故も起きている)
近年、こういうぬるいお湯が人気らしいですが、そもそも体が温まらないですし、衛生的には最悪なので、温泉施設である以上は熱めのお湯を維持してほしいところですね。
那須や草津や別府や雲仙などの歴史のある温泉場では、本場の意地があるのか、公衆浴場ではやっぱり熱いですし。(個別の旅館の対応は知りませんが、本当に温泉好きな人は熱めが好きだと思います)