どうも、同人結社創作信仰鬼姫狂総本部 代表の秋元惟史(作家名義・民富田智明)です。
絶対に見るべき映画シリーズ第9弾は「サンゲリア」(1979年)です。
「サンゲリア」は、70年代から80年代の空前のゾンビ・ホラー映画ブームの中で公開されたゾンビ映画のひとつで、イタリアンホラー界の巨匠ルチオ・フルチの代表作です。
ウジやミミズが這い回る、とにかく汚い腐乱ゾンビが象徴的です。
内容は、カリブ海のとある島で、死者が蘇って生者を貪り食い、噛まれた生者も人食いの屍となるという恐るべき現象が発生しまして、島の診療所で研究を続けるメナード医師と、そこに居合わせた新聞記者ら数名が、次々と生ける屍に追い詰められていくというお話です。
「サンゲリア」の内容そのものはよくあるゾンビものなのですが、そのゾンビの中に、やたらと個性を主張してくる、一度見たら忘れないやつが混じっております。
冒頭、ニューヨーク湾で漂流するクルーザーに警官が踏み込んだところ、やたらと太った巨漢のハゲゾンビが襲いかかります。
このハゲゾンビ、そのインパクトがあまりに大きかったのか、ポスターやビデオジャケットにも大写しで描かれていたりします。
中盤、カリブ海のきれいな海で、褐色肌の女性がトップレスにTバックというエロい格好でダイビングを始めたところ、サメが襲いかかってきます。
冷めに驚いたのも束の間、サメを狙って海中ゾンビが現れて、サメと取っ組み合った末にサメに食らいつきます。
女性は慌てて海中から船に上がりますが、本筋とまったく関係なく、素潜りでサメと格闘する海中ゾンビの活躍に大興奮です。
中盤、何を血迷ったのか、朽ちた古い墓地の中で唐突にいちゃつき始めた主人公の新聞記者の前に、例の腐乱ゾンビがご尊顔を披露します。
この腐乱ゾンビが「サンゲリア」の象徴としてポスターやビデオパッケージになっているのですが、ウジやミミズがヌルヌルモゾモゾとうごめいていて、気持ち悪いったらありゃしない。
そうこうしているうちに診療所に立て籠もっての籠城戦になり、即席の火炎瓶とわずかな弾数の拳銃とスコップなどの適当な道具を武器に、人々はゾンビに立ち向かいます。
しかし、一人、また一人とゾンビの餌食となり、主人公の新聞記者とわずかな生き残りだけが船で脱出します。
命からがら脱出して沖に出たところ、ゾンビに噛まれて負傷した一人がゾンビ化してしまい……。
一方、ニューヨークでは、巨体のハゲゾンビに殺された警官からゾンビの増殖が始まり、ゾンビだらけになっていました。
「サンゲリア」は、よくあるゾンビ映画の基本フォーマットが如実に現れています。
- 謎の奇病によって死体が蘇って人を食い始めてさあ大変。
- 孤島や山荘やキャンプ場に複数の人々が居合わせており、そこにゾンビが襲いかかる。
- ゾンビはのそのそと歩くだけなので、遠くまで走って逃げれば無事なはずなのに、なぜか籠城したがる。
- 案の定、ゾンビに取り囲まれて門や窓を突破され、一人ずつ食い殺されていく。
- わずかな人々が脱出して生き残るが、すでにゾンビ化現象が蔓延していて……。
だいたい、ゾンビ映画のパターンはこんな感じですね。
下手に籠城するからゾンビに食われるのに、みんな籠城したがるのがゾンビ映画です。
主人公たちを閉鎖空間に追い詰めないと、脚本が描けないからなんですけどね。
この「サンゲリア」をDVDで買ったのは高校時代なのですが、そのきっかけは、高校時代に大好きだった北村龍平監督のインディペンデント映画「VERSUS」の元ネタとして、監督自身が「サンゲリア」と「ハイランダー」を挙げていたからです。
ちなみに、「VERSUS」の予告編はこちら。
そのうち、高校時代の私をときめかせた中二病精神満載のインディペンデント映画「VERSUS」の紹介記事も書きます。
高校生の私は、「サンゲリア」って何? フルチって何? と興味津々になり、地元の大型家電屋のDVDコーナーで「サンゲリア」を見つけた瞬間、一か月分のお小遣いで即買いしました。
結果、現在でも私のゾンビ映画の教科書として「サンゲリア」は殿堂入りしています。
フルチ映画は、映画も面白いのですが、音楽もかっこいいのが多いです。
「サンゲリア」を一度でも見れば、特徴的な音楽の虜になって口ずさみ始めるでしょう。
【予告編】
【DVD】