実写映画を実現したくても役者と財源が確保できないと何もできないので、鬼姫狂徒獲得の説得力向上のために音声劇を連作して演技力を磨くことにしました。音響編集ソフトの機能で声を女性に切り替える方法がわかったので、自分一人で女性すら演じられるようになりました。
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「第1話 鼠男の出現」
遠い昔、鬼姫山のお凜様が牙吉さんと飛丸さんを従えて疾風号に乗って人里の見回りをしていたところ、突如、爆発音と銃声が聞こえてきた。現場に駆け付けると、一軒の家が燃え上がり、邪悪な妖賊鼠男に娘が取り囲まれ、父母弟と思われる人が血まみれで倒れていた。お凜様は、娘を助けるため、鼠男を退治すべく正義の刀を抜いた……。
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「第2話 霊泉酒と霊竹笛」
お凜様は、百姓の娘お藤を救うために妖賊鼠男・どぶづまりの中太郎を追い払ったが、お藤の父の正五郎、母のお蓮、弟の賢太郎が血まみれで倒れたままだった。お凜様は、鬼姫山の霊泉酒の力で家族の重傷を治した。そして、焼け落ちる家から野原に退避し、突然の雷雨から逃れるべく近くの汚い小屋に駆け込んだ。小屋は、人が住めるような代物ではなかった。家も金も何もかも失った家族は失意のどん底に打ちひしがれた。お凜様は、鬼姫山の霊竹笛の力で家族の心魂を癒した。
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「第3話 最初の犠牲者」
妖賊鼠男・どぶづまりの中太郎は、お凜様に追い払われて脇腹を負傷し、森の中をさまよっていた。中太郎は、お凜様への仕返しを心に決めつつ、森の中に一軒の家を見つけて押し入った。家にはきこりの父、母、娘の3人が住んでいて、ちょうど囲炉裏を囲んで食事をしているところだった。中太郎は、神と偽り、無作法な態度で神儀の真似事をして座敷に上がり込み、父と母に居間を外させて、娘に手当てと称しながら拳銃を突き付けて卑猥なことをさせた。居間の様子をこっそり覗いた父と母は、驚嘆のあまり声を上げてしまい、中太郎に気付かれて拳銃で撃たれた。中太郎が娘を強姦しようとしたところ、地域の土地神の一人が助けに入ったが、中太郎は土地神を拳銃で撃って倒した。邪魔者がいなくなった中太郎は、身も心も壊れるまで娘を凌辱した……。
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「第4話 雨上がりの弔い」
お凜様は、正五郎、お蓮、お藤、賢太郎の家族を守護するため、妖賊鼠男・どぶづまりの中太郎の反撃を警戒すべく、当面の滞在先を探しに行った。お凜様は、森の中の一軒家を見つけて定宿にしようとしたが、家の中には惨死した家族が横たわっていた。特に、凌辱の限りを尽くされ肉を食い散らされた娘が悲惨であった。床には、娘が最後の力を振り絞って書いたと思われる「ねずみちゅうたろ」という血文字があった。お凜様は中太郎の悪行に憎悪し、犠牲者を墓に葬った。お凜様が墓前で霊竹笛を拭いて弔いをしていると、地域を仕切る土地神の頭領の野猫「黒首輪の縞之助」がやってきた。縞之助は、巡回に出たまま戻ってこない子分が中太郎の手にかかったことを知り、お凜様と共闘を誓う。
縞之助は、家族の居場所として、自らの息がかかっている村外れの博徒「芦野原一家」に草鞋を脱ぐように薦めた。
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「第5話 軒下の神儀」
お凜様は、土地神の頭領の野猫・黒首輪の縞之助の仲立ちで、お藤たち家族を連れて、村外れの博徒「芦野原一家」に訪れた。一家は、貸元の源五郎と姐御のお香によって営まれていた。お凜様は、代貸を務める鹿山の真一郎に対して牙吉さん飛丸さんと共に神儀を切って草鞋を脱いだ。縞之助は、一家での家族の世話を求めた。真一郎は渡世人ではない堅気の世話をすることに困惑したが、お香がそれを受け入れた。お凜様が源五郎に事の経緯を話したところ、源五郎は家族を正式に部屋住みとして働かせることに決めた。また、源五郎は、お凜様の可憐な容貌を一目で惚れ込み、家族を世話する代わりに、お凜様に賭場の客寄せのための胴師を兼ねて用心棒になることを求めた。お凜様は、源五郎に打算的な考えがあることは見透かしたが、それを受け入れた。お凜様は、芦野原一家の客神になった。お凜様が源五郎とお香の夫妻と対面した時には外出していたようだが、実は、遊び惚けている実子分がいるらしく……。
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「第6話 団子屋事件」
お凜様は、博徒の芦野原一家の客神になり、部屋に通された。部屋には、相州愛甲地方の野兎・耳千切れの跳太郎が先客として入っていた。お凜様は、跳太郎と挨拶し、鼠退治の助太刀を求めたが、跳太郎の耳が千切れていることが気になった。跳太郎には、かつて仲良しの鼠と一緒にいた時があった。その仲良しの鼠の兄が悪事を働く妖賊だったために、跳太郎は、土地神として兄を斬り捨てた。仲良しだった鼠は、仇討ちとばかりに跳太郎の耳をかじって、どこかに行ってしまったという。その思い出の鼠の名は、敵と同じ「中太郎」だった……。
一方、街道筋では、露天商の娘お稲が団子屋を出していた。芦野原一家の実子の幹太郎は、お稲に気があって通い詰めていた。幹太郎が団子を食べてお稲と雑談しているとき、ならず者の集団が店にケチをつけてきて、屋台を足蹴にして破壊しようとした。幹太郎は怒り、ならず者を素手でぶっ飛ばそうとしたが、ならず者が刀を抜いたので、自らも刀を抜いた。張り詰めた状況の中、的屋の帳脇の雉山伝四郎が舎弟を引き連れて駆けつけてきて、刀を抜いてならず者を牽制した。ならず者は、武州比企地方嵐谷村の沢水一家の石頭の克治と名乗り、縄張りの乗っ取りを宣言して逃げていった。
一方、森の中では、鼠男の中太郎が、見回りの野猫たちと刃を交え、次から次へと斬り伏せていた。娘の匂いを嗅ぎつけて、芦野原一家に迫りつつあった……。
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「第7話 命の天秤」
博徒の倅の幹太郎と団子屋の娘のお稲は、壊された屋台を作り直すために、的屋の帳脇の伝四郎に連れられて芝野丘一家を訪ねた。
帳元の芝野丘栄三郎は、伝四郎から比企の沢水一家の石頭の克治との揉め事について聞き、露天商としてあくまでも喧嘩を避けたいものの、相手からの攻撃を警戒した。栄三郎は、露店と賭場の支配権を一手に牛耳ろうとする企てに対抗すべく、博徒の芦野原一家と手を組むことに決めて、芦野原の源五郎と話をしに出掛けた。
留守を任された伝四郎は、幹太郎と一緒にお稲の屋台を作った。伝四郎は、幹太郎から露天商をやりたいと芝野丘一家に入ることを請われたが、芦野原一家の跡目を実子としてしっかりと継ぐように諭した。それは、お稲と幹太郎との結婚を遠回しに示していた。お稲は幹太郎の前で恥ずかしくなり、家に帰ろうと出ていった。
お稲は、家に帰る途中、石頭の克治の一味に取り囲まれて人質として連れ去られてしまった。克治は、幹太郎に舎弟を殴られた落とし前として芦野原一家に乗り込みに行った。お稲は、克治の舎弟に連れられ、河原の汚い小屋に押し込められて、縄で拘束された。そこに鼠男の中太郎が現れて、拳銃で舎弟を撃ち殺した。中太郎は、お稲に「匂いの先にいる娘と鬼神童女を連れてこい。嫌ならこの場で犯して殺す。逃げてもお前の匂いはもう覚えた」と脅した。恐怖に支配されたお稲は、それに応じざるを得なかった。
お藤の命とお稲の命が天秤にかけられてしまった……。
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「第8話 博徒的屋同盟」
お凜様は、牙吉飛丸、縞之助、跳太郎と共に、芦野原一家の門前で鼠の見張り番をしていた。鼠が現れる気配はなかったが、見回りに出している縞之助の子分が戻って来ないことが気がかりだった。縞之助は、跳太郎と共に、周辺の様子を探りに行った。牙吉と飛丸も索敵に出ようと考えたが、お凜様は、入れ違いで鼠が攻めてくることを警戒してその場に留まらせた。
的屋の帳元の芝野丘栄三郎は、貸元の源五郎に会いに来て、比企の沢水一家の一味が団子屋の娘に乱暴を働いたことで芦野原の実子の幹太郎が怒ってひと暴れしたことを伝え、今後の攻撃に備えて手を組むことを提案した。源五郎は、栄三郎に同意した。源五郎と栄三郎は、芦野原の後継となる実子の幹太郎を媒酌人として、お凜様の見届けのもと、五分の義兄弟の盃を交わした。
盃事の後、実子の幹太郎は、代貸の真一郎に一家の後継になったことを伝え、長年仕えてきた真一郎を追い越してしまうことへの心の内を聞こうとした。真一郎は、不満を言うこともなく後継の幹太郎を祝福した。幹太郎は、小さい頃から世話してもらっている真一郎を敬っており、親分になっても「兄い」と呼び続けたいと伝えた。
台所では、姐御のお香が、お藤たち百姓家族に手伝わせて夕食の支度をしていた。お香はお藤たちと打ち解けて和気あいあいと包丁を振るっていた。幹太郎は、お藤たちに挨拶をしに台所に行き、幼い賢太郎に懐かれて一緒に遊びに行った。お藤は、幹太郎の丁寧な振る舞いに感心し、ほのかに好意を抱いた。だが、幹太郎には、すでに想う人がいた……。
一方、団子屋の娘のお稲は、芦野原一家に近い野原で家を眺めながらおろおろしていた。自分の身代わりにお凜様と娘を連れ出すことに良心が咎めていた。家に行くことをためらっていると、屋台を壊して自分を連れ去った石頭の克治の一味が家に向かっているのが見えた。奴らが乗り込むつもりだというのはわかっていたが、何もできず、様子を見るしかなかった……。
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「第9話 賽子勝負」
お凜様が芦野原一家の門前で見張り番をしていると、沢水一家の石頭の克治の一味が押し寄せてきた。
克治は、お凜様を前にして怯むものの、芦野原の実子の幹太郎に怪我させられた舎弟の落とし前をつけさせるために、お凜様を振り切って玄関に踏み込んだ。
克治は、下足番の若衆を張り倒し、玄関に駆けつけた芦野原の貸元の源五郎、姐御のお香、代貸の真一郎、実子の幹太郎、芝野丘の栄三郎と対峙した。克治は、あれこれと屁理屈をこねた挙句、実子の幹太郎の身柄を要求した。当然、それは拒まれたが、看板を外して縄張りを差し出すことを要求した。当然、それも拒まれたが、遂に拳銃を向けて脅した。
下手に刀を抜けばすぐに銃で撃たれる、そんな緊迫した状況の中、お凜様が背後から克治に拳銃を向けた。お凜様は、克治を気迫で根負けさせて銃を下ろさせるが、引っ込みのつかない場を収めるために、盆の勝負で決着をつけることにした。
芦野原の貸元の源五郎、姐御のお香、代貸の真一郎、実子の幹太郎、芝野丘の栄三郎が見守る中、お凜様の壺振りで丁半一本勝負が行われた。お凜様が壺を振り、克治が「半」に賭けた。緊迫した空気の中、お凜様が壺を開けた。結果は、「丁」だった……。克治は、舎弟を連れて引き下がった。
夜になり、一家が夕食を始めたころ、お凜様は見張り番を続けていた。お藤が、お凜様たちのために食べやすいお握りを作って運んできた。お握りは美味しく、お凜様、牙吉、飛丸はとても喜んだ。お凜様とお藤が月を眺めながら語らっていると、暗い中、お稲が一人でやってきた。お稲は、お藤とお凜様を連れ出そうとしたが、夜風を浴びに外に出てきた幹太郎と目が合い、動揺して逃げ出していった。幹太郎は、お稲を追って走っていった。お凜様は、お稲の様子がおかしいと思い、疾風号に乗って追いかけていった。
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「第10話 」
お凜様は、闇夜の中を疾風号を走らせて、逃げたお稲とそれを追う幹太郎を留まらせるために、全速力で追いかけた。お凜様は、野原でお稲たちに追いつき、家に戻そうとした。だが、どこからか銃撃を受け、お凜様の目の前でお稲と幹太郎が撃たれた。
鼠男の中太郎が姿を現し、真の標的のお藤を連れて来なかったお稲を咎めて殺そうとした。お凜様は、拳銃を抜き撃ちして、中太郎の拳銃を弾き飛ばし、刀を抜いた。中太郎は、お凜様の刀の挑戦には乗らず、何体もの手下を召喚してお凜様に斬りかからせた。
お凜様は、次から次へと手下の鼠を斬り捨てて、中太郎に斬りかかった。お凜様は、中太郎に一太刀くらわせて追い詰めた。だが、大勢の手下を斬らせたのは、それはお稲と幹太郎を手遅れにさせるための時間稼ぎだった……。
手負いの中太郎はその場を逃走した。お凜様は、瀕死の重傷を負ったお稲と幹太郎を霊泉酒で治療して命を救った。お凜様は、お稲と幹太郎を疾風号に乗せて芦野原一家に駆けていった。
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「第11話 」
沢水一家の石頭の克治は、腹を立てながら、お稲を閉じ込めておいたはずの河原の汚い小屋に戻った。
克治は、人質のお稲をだしに、実子の幹太郎を誘い込んで始末し、出入りに持ち込もうと考えた。だが、小屋では、舎弟二人が殺されていて、お稲の姿がなかった。克治は、自分たちが芦野原一家に乗り込んでいる間に、芝野丘一家の帳脇の雉山伝四郎がお稲を奪い返しに来たのだと思い込んだ。克治は、舎弟の報復のために、伝四郎を狙って芝野丘一家に向かった。
芝野丘一家では、お稲の両親が訪ねていて、お稲が帰ってきていないことを心配していた。そこに、栄三郎が帰ってきて、お稲が芦野原一家に訪ねてきて、どっかに行ってしまって、お凜様が追いかけていったらしいということを、両親に伝えた。栄三郎は、お凜様がいるから大丈夫だと諭し、伝四郎に両親を送りに行かせた。
伝四郎は、お稲の両親を家まで送って、帰り道に石頭の克治の一味に取り囲まれてしまう。伝四郎は、
克治に舎弟殺しの疑いをかけられるが否定する。だが、克治はそれを信じず、伝四郎を寄ってたかって刀で斬って走り去った。
伝四郎が瀕死の状態で倒れていると、たまたま見回りから帰ってきた縞之助と跳太郎に発見された。お凜様がいないので、霊泉酒で治癒することができなかった。伝四郎は、幹太郎に「俺もお稲が好きだった。お稲を幸せにしてやれ」と伝えるよう頼むと、息を引き取った。
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「第12話 」
縞之助と跳太郎は、殺された伝四郎の遺体を芝野丘一家に運び込んだ。栄三郎は、後継ぎに決めていた伝四郎の死をひどく泣いて悲しんだ。若衆たちは、伝四郎の仇討ちだと血の気が沸き立った。縞之助と跳太郎はそれを諫め、次なる襲撃に備えて芦野原一家に集まるように指示した。
芝野丘一家の面々を連れて芦野原一家に戻った縞之助と跳太郎は、幹太郎とお稲に伝四郎の最後の言葉を伝えた。幹太郎とお稲は泣き崩れた。幹太郎は、伝四郎を殺した克治を斬りに行こうとするが、お凜様は張り倒して静止し、「伝四郎が何のために言葉を残したのか」と問いただした。
そのどさくさで、代貸の真一郎の姿が見えなくなっているのに、誰も気づいていなかった……。
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「第13話 」
代貸の真一郎は、道端で野宿している旅人に聞き回り、石頭の克治の潜伏場所を見つけ出した。
真一郎は、幹太郎に代わって伝四郎の恨みを晴らすべく、刀を抜いた。克治は真一郎を拳銃で撃ち抜いたが、真一郎は克治の舎弟を何人も斬り捨てて、克治を道連れにしようとした。だが、そこに、鼠男の中太郎が姿を現し、真一郎を斬り殺した。
中太郎は、気が動転して腰が抜けた克治の顔のすぐ脇に刀を突き刺して脅し、悪の臭いを感じ取って、克治に軍門に下るように要求した。克治は要求を飲み、血の盃を交わして、中太郎の忠実な僕である半妖人になった。中太郎は、沢水一家の若衆を一人残らず軍門に入れて半妖人にするべく、克治に比企に向かわせた。
一方、芦野原一家では、真一郎がいなくなっていることに騒いでいた。お凜様が夜道を探しに行こうとすると、野宿の旅人が、殺された真一郎の遺体を運んできた。一家の面々が泣き崩れた。旅人は、真一郎が何人もの敵を道連れにして果てていたことを伝えた。嗅覚の鋭い牙吉は、鼠の臭いがすることに気付いた。お凜様は、真一郎にとどめを刺したのは、石頭の克治ではなく、中太郎だと悟った。
お凜様は、交代で番をするから全員にしっかり寝るように指示した。
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「第14話 」
朝になり、源五郎と栄三郎は、比企の沢水一家の貸元の弥次郎に話をつけに行った。人格者として知られる弥次郎が、本当に指図をして潰しにかからせているのか、問いただしたかった。仮に克治が暴走しているだけであれば、無駄な血を流さないためにも手打ちを持ちかけたかった。
克治は、一足先に沢水一家に戻り、弥次郎に自分の舎弟を何人も殺されたことを伝えた。弥次郎は、縄張り荒らしなど望んでもいなかったことを勝手にやったから反撃を受ける羽目になったと、克治を責めた。だが、克治は、一家を大きくする一心でやったことだと主張した。弥次郎は、その場で克治を破門にして追い出した。
入れ違いで、源五郎と栄五郎が沢水一家に踏み込んだ。弥次郎に、代貸と帳脇が殺されたことを伝え、
指図があったのか尋ね、克治の身柄の引き渡しを条件に手打ちを持ちかけた。弥次郎は、克治を破門にしたから克治を勝手にしろと返すも、殺された若い衆の人数が多いことを突いて、手打ちを拒んだ。
源五郎と栄三郎は、それを沢水一家の敵対宣言と捉え、帰っていった。
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「第8話 博徒的屋同盟」
お凜様は、牙吉飛丸、縞之助、跳太郎と共に、芦野原一家の門前で鼠の見張り番をしていた。鼠が現れる気配はなかったが、見回りに出している縞之助の子分が戻って来ないことが気がかりだった。縞之助は、跳太郎と共に、周辺の様子を探りに行った。牙吉と飛丸も索敵に出ようと考えたが、お凜様は、入れ違いで鼠が攻めてくることを警戒してその場に留まらせた。
的屋の帳元の芝野丘栄三郎は、貸元の源五郎に会いに来て、比企の沢水一家の一味が団子屋の娘に乱暴を働いたことで芦野原の実子の幹太郎が怒ってひと暴れしたことを伝え、今後の攻撃に備えて手を組むことを提案した。源五郎は、栄三郎に同意した。源五郎と栄三郎は、芦野原の後継となる実子の幹太郎を媒酌人として、お凜様の見届けのもと、五分の義兄弟の盃を交わした。
盃事の後、実子の幹太郎は、代貸の真一郎に一家の後継になったことを伝え、長年仕えてきた真一郎を追い越してしまうことへの心の内を聞こうとした。真一郎は、不満を言うこともなく後継の幹太郎を祝福した。幹太郎は、小さい頃から世話してもらっている真一郎を敬っており、親分になっても「兄い」と呼び続けたいと伝えた。
台所では、姐御のお香が、お藤たち百姓家族に手伝わせて夕食の支度をしていた。お香はお藤たちと打ち解けて和気あいあいと包丁を振るっていた。幹太郎は、お藤たちに挨拶をしに台所に行き、幼い賢太郎に懐かれて一緒に遊びに行った。お藤は、幹太郎の丁寧な振る舞いに感心し、ほのかに好意を抱いた。だが、幹太郎には、すでに想う人がいた……。
一方、団子屋の娘のお稲は、芦野原一家に近い野原で家を眺めながらおろおろしていた。自分の身代わりにお凜様と娘を連れ出すことに良心が咎めていた。家に行くことをためらっていると、屋台を壊して自分を連れ去った石頭の克治の一味が家に向かっているのが見えた。奴らが乗り込むつもりだというのはわかっていたが、何もできず、様子を見るしかなかった……。
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